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旅行日記

~シベリア鉄道旅行2005~

~8日目~

2005年2月13日(日)
シベリア鉄道6日目

今日は一日かけてモンゴルを縦断する。そして夜には中国へ入る予定だ。モンゴルといえば砂漠と遊牧の国。そして昨夜の入国審査で、モンゴル=フレンドリーな国というイメージができあがっているので、もうこの先何が起こるかと楽しみだ。

今日の停車駅は、ダルハン、サルチット、ズンハラ、ウランバートル、チョイル、シャイン・シャンダ、ザミンウド、二連。

ウランバートル

キキーガガガガガガガガ、ドガンッ
とでも表現するのが適切であろう、ものすごい衝撃で朝っぱらからたたき起こされた。何事かと思って時計を見れば7時半過ぎ。どうやらモンゴルの首都ウランバートルに着いたようだ。それにしてももうちょっと停車の衝撃をなんとかして欲しい。ロシア国内でも酷かったのに、それに輪をかけて酷い。ベッドから振り落とされるかと思った。日本で無衝動停車がどうとか話していたのが懐かしい。

経緯はどうあれ、せっかくモンゴルの首都ウランバートルで目が覚めたのだから、気を取り直して着替えてホームに降りる。



なんか激寒なんですが。

まあいいやということで、少しホームを歩いたり、写真を撮ったりする。

ウランバートル モンゴルの首都ウランバートル駅。時間は午前8時前というのにまだ薄暗い。一国の首都なのに、周りに大きな建物が何も見えない・・・。
モンゴルの食堂車。列車はモスクワから北京まで直通だけど、食堂車は国毎に変わる。つまり3つの味が味わえる。 食堂車
ペクトパー 食堂車の表記。モンゴルもロシアと同じキリル文字を使う。どう見てもペクトパーとしか読めないけど、これをアルファベットに変換すると"RESTRAN"になる。アルファベットと同じ文字しか使ってないから紛らわしいことこの上ない。ДとかЯとかあれば明らかに違うって分かるのに・・・。

ホームを歩いていたら、ふと実は結構寒いんじゃないかということに気付く。シベリアの寒さにも慣れたのに、酷く寒く感じる。いや寒いどころか完全装備で出てきているのに、手袋をしている指の先から段々痛くなってきた。

寒いなんてレベルじゃない。命に関わる。あわてて列車の中に飛び込む。ふぁ~、あったかい~。あ~、死ぬかと思った。寒さで命の危険を感じるなんて初めての経験だ。シベリアでも大丈夫だったのに一体何℃なんだと思う。よく考えればここは砂漠の真ん中で今は早朝。放射冷却によって酷く冷え込んでいるのだろう。砂漠の夜は寒いとはよく聞くけど、まさかシベリアよりも寒いとは思わなかった。ロシアと違って駅に温度計が付いていないのが残念だ。(帰国後調べてみたら、ウランバートルの2月の平均最低気温は-46℃だとか・・・)

極寒の外から暖かい車内に戻ってホッとしていたら、K氏とT氏も今にも死にそうな顔をして戻ってきた。

ちなみにモンゴルに入ってからようやくこの車両の乗客が増えたようだ。モスクワから五日間、マニア4人と車掌2人しかいなかったからなぁ(笑

地平線
地平線 三人で人心地付きながら部屋で朝食。外を見ると砂漠以外何もなく、こんな感じでひたすら地平線。本物の地平線を見るのは始めてで感動した。感動したけど、30分も見てたら飽きた(爆。だって地平線てそれだけ見てると「線」でしかないし・・・。
ウランバートルで買った怪しいチョコパイに付いていたおもちゃ。モンゴルにもお菓子におまけを付けるような習慣はあるのか。 おもちゃ
チョイル

ひたすら地平線とにらめっこしてたら、次の停車駅チョイルに着いた。Choirって英語表記で見るとチョイヤーとしか見えない。

小さな駅だ。駅の周りには建物すらろくに見あたらない。こういう風景を見ると、モンゴルは本当に遊牧民が多いんだなぁと思う。

チョイル
食堂車

チョイルを出たところで、せっかく食堂車が変わったのだからということで、昼食は食堂車でとることにする。いざモンゴル国鉄の食堂車に入ってみると・・・

食堂車 なんか、すげー。木ですよ。無駄に豪華?
しかもめっちゃ凝ってる。 食堂車
食堂車 ロシアの食堂車と違って明るくていい雰囲気だ。

この内装を見ただけでも食事への期待が膨らむというもの。ロシアでは一度期待を裏切られているが、そこはフレンドリー精神が売りのモンゴル、やはり期待は裏切りませんでした。食事はなんとステーキセット。つまり定食ものですよ。モスクワを旅立って初めてまともな食事にありつけた。もう感無量だ。てなわけでいただきま~す。



どう見てもこれハンバーグなんですが。さすがは遊牧の国モンゴル、細かいことは気にするなということですか?フレンドリーなだけではなく、ミステリアスな一面も持ち合わせているようだ。

どこまでも続く地平線

チョイルを出ても、食事をしても、窓の外に広がるのは砂漠、砂漠、砂漠・・・。ついでにいえば地平線しか見えない。

地平線 ひたすらこんな風景が続く。見えるのは地平線と送電線だけ。地平線も最初こそ見るのが初めてで面白かったけど、さすがに一日中これじゃあ発狂しそうになる。

砂漠といえども、たまには動物もいる。たまに幼稚園児ぐらいの大きさがある鳥がいたりしてびびる。

牛?

ほんとこんなところによく線路を敷いたと感心する。しかも動物が線路内に入らないように、線路の周りに柵が張ってある。おまけに生活領域を分断される動物に配慮してか、ちゃんと線路の下にところどころトンネルが掘られている。獣道との立体交差とは斬新な発想だ。

ちなみに上の写真は食堂車から撮ったので、窓がきれい。さすがモンゴル、車両の整備が行き届いている。

コーヒーブレイク

眠たくなる昼下がりの午後、せっかくちゃんとした食堂車もあるので、コーヒーを飲みに行く。他の二人も誘ったけど、やる気のない返事だったので一人で飲みに行く。

なんか久しぶりにまともなコーヒーを飲んだ気がする。ロシアでK氏が買っていたインスタントコーヒーは、お湯に溶かす前の段階ですでに砂糖とミルクが入っているという斬新な発想のものだった。はっきりいって余計なお世話だ。コーヒーはブラックに限る。その前にインスタントは飲まない。

午後のひとときを流れる地平線を横目に美味しいコーヒーで過ごし、さあ戻ろうと会計を頼むと、「さっきご飯食べてくれたからタダでいい」という感じのことを言ってくれる。遊牧の国モンゴル、フレンドリーとミステリアスだけではなく、サービス精神も旺盛だ。

シャイン・シャンダ

コーヒーを飲み終えて部屋に戻ると、次の停車駅シャイン・シャンダに到着する。

シャイン・シャンダ シャイン・シャンダの駅。軽く伸びをして、列車の中で凝った体をほぐす。駅は殺風景ながらも、ここでも売り子が物を売っている。モンゴルの通貨が何かは知らないけど、米ドルが使えるので買い物には困らない。ルーブルが使えればもっと良かったけど。
シャイン・シャンダの町並み。小さな街のようだ。しかしいくら遊牧の国モンゴルといえども、さすがに街の中までパオ(モンゴル遊牧民のテント)が並んでいるわけではなかった。 シャイン・シャンダ
台車 せっかくなので(?)乗っている列車の台車をアップで撮影。相変わらず無駄にごつい台車だ。
モンゴル出国

夕食を食べてのんびりしていると、モンゴル-中国国境のモンゴル側国境駅ザミンウドに到着する。ここでも入国時と同じように出国審査官が乗り込んできて出国審査を行う。それはそうと国境が近づくと普段冷静なT氏がやたら挙動不審になるんですが。自分の書いた出国カードやパスポートを何度も見直したり、地球の歩き方(出入国に関するページ)を食い入るように熟読したり。ロシアから出るときも同様の症状を起こしていたT氏、どうやら国境恐怖症候群のようだ。T氏の新たな一面を見た

出国審査では入国時のようにイベントが起こることもなく、あっさりと終了。列車も一時間程度の停車で発車し、中国へと向かう。さらばモンゴル。いつか再び訪れるその日まで。

中国入国

モンゴルを無事出国したところで、さっき恰幅のいいおっちゃんが配っていった中国の入国カードに記入・・・しようとするとも、それが中国語でしか書かれていない。漢字なので大体のところは分かるけど、それでも中国独特の漢字を使っていたりして分からないところもある。英国人のおっちゃんなんかちんぷんかんぷんの様子だ。

困っているとさっきの恰幅のいいおっちゃんが、「ごめんごめん」てな感じで英語で書かれた入国カードを持ってきてくれる。これならなんとか書けそうだ。

T氏がまた国境恐怖症候群を発症していた以外は何事もなく、ザミンウドから30分ほどで中国側の国境駅二連に到着。今後は中国の入国審査官のおばちゃんが入ってくる。入国審査官に日本語が通じたことにホッとするのも束の間、「ビザは無いの?」とか仰る。日本人はビザは必要ないということを説明すると、パスポートを持って部屋から出て行ってしまう。予想外の展開について行けなくなるものの、なんとか分かって貰えたようで、無事入国を果たす。・・・なんかT氏が国境恐怖症候群になったのが少し分かるような気がした。

台車交換

入国審査をしているときから、列車がやたらガコガコ揺れている。一体何をしているのかというと、編成をばらしている。寒い中ずっと走ってきたので連結器が凍り付いているのか、連結を外す際には何故か衝撃を伴うようだ。

駅構内で何度も列車を動かしながら、一両ずつにばらす。そして一両にばらされた車両は、駅横の工場に搬送される。もちろん乗客を乗せたままで。

そんなことをして一体何をするのかといえば台車交換。先日も書いたようにロシアとモンゴルのゲージ(レール間隔)は広軌で1524mm。対する中国は標準軌の1435mm。つまりゲージが違うのでそのままだと乗り入れる事は出来ない。日本ではゲージの違う新幹線と在来線の乗り入れが出来るようにフリーゲージトレインなるものを開発しているが、中国やロシアにそんなハイテクな技術があるわけもない。ゲージが違うなら台車ごと取り替えればいいじゃん、ということで台車交換。なんとも強引な発想だ。

台車交換台車交換
台車交換台車交換

↑こんな感じで一両ずつ工場に入れられた車両は、台車-車両間のボルトなどを外す。そして車両をリフトで持ち上げて、その下を取り外した台車がシャーッと流れていく。最後に新しい台車がシャーッと入ってきて車両を降ろして取り付ける。右下の写真はわかりにくいけど、外で台車が待っている。

なお車掌に頼んだら、英語は通じないも関わらず言いたいことは通じたようで、ドアを開けて写真を撮らせてくれた。もちろん車両が持ち上がっている状態で。日本じゃ安全基準がどうとか言って絶対にあり得ないな。思えばこの言葉の通じない車掌ともずいぶんと仲が良くなったものだ(もう一人の車掌は英語が通じる)。そういえば最近、よくお湯を汲んできてくれたり、ゴミを捨ててくれたりしてる気がする。感謝感謝。

台車交換をした後、どうやって編成を戻すんだろうと思っていると、突然信じられないような衝撃が車両をおそう。危うく転びそうになった。何かと思えば列車が動き出している。どうやら機関車を後ろに連結して(というよりぶつけて)動かしているようだ。なんて思っていたら第2の衝撃が車両をおそう。今度は前の車両に突っ込んだようだ。まだ動いている。そしてまた次の車両に突撃。・・・どうやら玉突きの要領で車両を連結していく気らしい。つまりある運動量をもって突っ込ませれば、運動量保存の法則により隣の車両と連結してさらに進んでまた次の車両と連結・・・ということを繰り返しているらしい。・・・むちゃくちゃだorz

少しは乗客のことを考えろ。っていうか、そんなことをしても車両は大丈夫なのか?まあ客車なのに日本の電車より重いくらいだから丈夫に出来ているのかもしれんが・・・。

そんな衝撃を何度か繰り返した後、列車の組成が終わったようで、駅に引き返していく。やれやれと思っていたら、駅ではまた別のグループと再連結。やっぱり揺れた(笑。連結を終えてしばらくすると発車時間になって、静かに駅を離れていく。この列車、停車の衝撃は酷いけど、発車は結構スムースなんだよなぁ。

わずか一日のモンゴル縦断の旅を終えて、列車は中国へと入った。モンゴルは総じてフレンドリーでミステリアス、かつサービス精神旺盛な国であることが分かった

最終目的地北京まではすでに残り一日を切っている。いよいよラストスパートだ。

これは筆者の勝手なイメージです。実際のモンゴルとは異なる可能性があります(爆。

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